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もっといえば、リストラをやってはいけない報酬体系になっているのだ。
資本収益率を上げるという義務を負っている株主のエージェントとしての経営者は、現状の報酬体系のもとでは、エージェントとしての役割をまつとうするような画期的な働きはできないということだ。
典型的な「モラル・ハザード症候群」といってもよいだろう。
取締役会の構造に加えて、このようなインセンティブ・システムの欠如に日本企業の異常ともいえる低収益体質の根本原因がある。
すべてをアメリカ流に変えるのが良いとはいわないが、インセンティブというものが人間を動かす原動力である以上、一生懸命やれば報われる、決断し、実行しなければ相応のペナルティを受ける、という報酬体系に至急改める必要があるだろう。
直訳すると、「倫理の欠如」。
保険がかかっているために、行動が資源浪費の方向に歪められること。
経済用語としては、企業の経営倫理が失われている状態を意味している。
バブル期に銀行が行った乱脈融資などはその典型。
自分の任期中は事なかれ主義で先送りし、あえて危険を冒す愚は避ける。
思い切って事業の再構築にメスを入れようとすると、みんなに憎まれ、引きずり下ろされかねないからだ。
といって、まったく手をこまぬいていては具合が悪いので、一応、口先では改革の必要性を説き、先進的なアイデアがあることを誇示しておく。
そうすると、「あの人は先進的な考えを持っているけれど、非常に温情的である」として、減俸もなく任期を無事まつとう米国S・スチュアート社によって提唱され、同社の登録商標となっている経営指標。
税引き後営業利益から時価ベースの加重平均資本コストを引く。
株主および投資家が要求する資本コストを上回る利益を、どれだけ上げられたかを示す指標である。
事業部レベルの評価システムも大きな問題である。
過去のしがらみや温情的な報酬体系の欠陥などによって、事業の再構築ができないのが現状だが、だれもが納得する指標を作れば、事業再構築をよりスムーズに実行できるようになる可能性が高まるだろう。
それが最近、よくいわれているEVA(エコノミック・バリュー・アデッドⅡ経済的付加価値)である。
これは通常の会計上の利益概念と異なり、会計上算出された利益から、株主が期待しているであろう期待収益率を、資本コストとして差し引いたものとして定義される。
つまり、営業利益から投資家が期待している収益をコストとして差し引き、それがプラスかマイナスかで各事業の資本効率を判断しようというものだ。
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